

古着に触れ、植物を愛でる。趣味に寄り添う収納棚。 ―Mr.Standard produced by POPEYE―

- 石田有佑(スタイリスト)
- いしだ・ゆうすけ|スタイリスト・熊谷隆志氏に師事し、2011年に独立。
- 雑誌やWEBマガジンをはじめとするファッションメディアを中心にスタイリングを手掛ける。
- その活動はファッションにとどまらず、アシスタント時代に学んだ植栽の知識を生かし、自身が主宰する「UI PRODUCT」を設立。
- 植物を用いた空間コーディネートにも従事する。
- Instagram – @uiproduct
原点は古着、住む人の趣味とルーツを物語る「Mr.Standard」。
ファッションスタイリストの顔と、植物を用いたディスプレイを手掛ける空間コーディネーターの顔。
石田さんはふたつの顔を持ち、洋服への興味も植物への探究心も、そのルーツは“古着”。誰かに着古されたからこその古着の風合いに惹かれたのはもちろん、古着屋に足繁く通うことで見えてきたのが、膨大な古着から秀逸な1枚を選び抜くセンスの妙だったそう。
「古着に興味を持ち始めた10代の頃は、ヴィンテージにばかり目が向いていて。
でも、感度の高い古着屋には、ヴィンテージほど年月が経っていなくても、かっこいい古着があるんです。
それって要は、古着をセレクトするオーナーのセンス。
倉庫に眠っている大量の古着から、どれをピックするのか。目利きの面白さを知ってから、より古着が好きになりましたね」
多くの中から選び抜くことの醍醐味は、植物も一緒。
どんな風に枝を伸ばし、葉っぱがどう折り重なっているのか、同じ品種であっても表情は千差万別。
石田さんは「古着も植物も、自分のセンスにビタッとハマるひとつを見つけるのは、そう簡単じゃありません。
正直、めちゃくちゃ疲れます(笑)。
でも、それを探すこと、選ぶことが楽しくて」と声を弾ませる。
“見える”だけじゃない、常に“触れられる”収納棚。
探しては選ぶというプロセスに重きを置く石田さんに、まさにビタッとハマったのが「Mr.Standard」のリビングに備え付けられたオープンシェルフ。
ここに何を収納し、何を飾るのか。石田さんは数多く所有する古着から、特にスペシャルなアイテムを厳選。
そこには植物と一緒にウッドのオブジェも顔を出し、こうした雑貨もまた、お気に入りを掘り出すことが楽しいアイテムの代表格。
「棚に収納した古着も、飾った植物やオブジェも、全部がお気に入り。インテリアの配置にセオリーは設けず、あくまでも自分の感覚です。
ああでもない、こうでもないと唸りながら、今の自分のテンションにハマる配置や組み合わせを探していく。
こうやって改めて言葉にしてみると、僕は常に何かを探していますね(笑)」
「季節によって着る服が変わるように、その時々のテンションによって、心地いいと感じるインテリアも変わると思っていて。
そうである以上、インテリアは決め込まない。
やっぱり僕は常に探しているというか、オブジェの向きをちょっと変えてみたり、植物の位置を入れ替えてみたり。
毎日のように小さな模様替えを繰り返しているような感覚ですね」
オープンシェルフの良さは、常に目に触れられることともうひとつ、手に取りやすいこと。
手に取りやすければ、ふいの模様替えも思いのまま。
その日の心模様がインテリアに映し出され、気分と部屋の一致が心地いい空間を演出するのだろう。
さらには引き出しにしまうよりも日々のスタイリングが捗り、触れるほどに愛着も深まっていく。
愛でることで分かる、植物の表情を生かす“適材適所”。
「古着と植物の共通点は表情の豊かさ。
着るほどに表情が変わるのが古着ですし、特に植物は生き物。本当にいろいろな表情を見せてくれます。
その表情をどう生かすのかが、空間コーディネートの醍醐味。
背の高いエバーフレッシュを窓際に置いた理由も、光を受けたときの表情にあります。
エバーは葉が薄く、太陽の光が透けるんです。その表情が抜群に美しくて」
植物の表情を生かすための配置。
石田さんはそのことを“適材適所”と表現し、植物ごとに異なる適材適所を見つける方法もまた、「常に気にかけ、置く場所をこまめに変えてみること」だそう。
植物は生き物だけに、教科書に書かれたセオリーどおりに育つとは限らない。
こまめに配置を換え、すくすくと育つ場所を見つけ出すのと同時に、植物は隣り合わせた雑貨とのコントラストによっても、また違った表情を見せてくれる。
「植物が好きなこともあって、個人的にウッドの質感がすごく好きなんです。
しかも、空間を直線的に仕切ったデザインの妙でしょうか。
部屋のグリッド感に、植物の生き生きとした表情が映えますね。それに植物だけでなく、ちょっとトリッキーなシルエットの雑貨とも抜群の相性」
石田さんの言葉どおり、広々とした平屋を直線的に仕切り、開放感とプライベート感を両立させた「Mr.Standard」。
リビングのオープンシェルフのみならず、部屋の随所に飾り棚を備え、石田さんは玄関のシェルフにも植物とオブジェを配置。
玄関扉を開けてすぐの場所に飾られた趣味のアイテムが家主の帰宅を待ち、家主の心を弾ませる。
“It’s My NewStandard.” これが僕らのMr.Standardの楽しみ方。